長い夏のMDをどうする?
日本の夏は長い。2025年9月の東京の平均気温は26.5度。10月でも最高気温29.3度を記録した。気温だけを見れば、夏物が売れ続けてもおかしくない。しかし実際には、お盆休みを過ぎたあたりから、消費者の夏物に対する購買意欲は急速に低下する。
すでにSALEで夏物を安く手に入れているため、同じような商品を定価で買い足す理由がない。一方で、昔のように9月からニットやアウターなどの秋物が動くわけでもない。気温は高い・蒸し暑い。しかし、夏物はもう買いたくない。秋物にはまだ手が伸びない。8月中旬から10月中旬まで続く、この「季節と気分の空白」にどう対応するのか。明確な答えはまだない。
必要なのは、単に夏物の販売期間を延ばすことではない。晩夏限定の商品、秋のムードを先取りした新色、シーズンレスなボトムや雑貨、イベントや旅行に紐づく提案など、「今まで持っていない」「今すぐ使いたい」と思わせる新しい購買理由をつくることだ。
夏物を延命するのではなく、長い夏の中に新しい季節をつくる。これからのMDには、その発想が求められる。
そして、その判断を担当者の経験と勘だけに委ねる時代も終わりつつある。気温、販売実績、在庫、検索動向、SNSの反応をAIで分析し、地域・店舗・品番ごとの需要変化を捉える。追加生産、在庫移動、値引き、販促のタイミングを週次、日次で更新していく。
AIが正解を教えてくれるわけではない。しかし、答えのない長い夏に対して、仮説を立て、素早く試し、学び続けることはできる。これから必要なのは、変化をデータで捉え、意思決定を更新し続ける「AI READY」なMDなのである。